一般外科医の知識置き場

外科系・疫学系論文を読んだり諸々

食道胃接合部癌に対するMALTA

【論文】

Minimally invasive abdominal and left thoracic approach for esophagogastric

 junction adenocarcinoma with esophageal diveticulum

Takeuchiら, Asian Journal of Endoscopic Surgery 12(2019)

 

【要旨】

Siewert type2の食道胃接合部癌に対する治療はいまだ議論の余地がある.横隔膜上の食道憩室を伴う接合部癌に対してMALTAを施行した.すなわち,LPGと胸腔鏡下下部食道切除を併施した.体位は半右側臥位の開脚reverse Trendelenbrug体位.再建はダブルトラクト法,腹腔鏡/胸腔鏡併用下でのOrVilを使用.

 

【考察】

Siewert type2の食道胃接合部癌に対する治療は様々な見解がある.

部分的に食道切除を加えた胃全摘,噴門側胃切除と食道亜全摘,経裂孔的もしくは胸腔からのアプローチなど.経裂孔的アプローチ,胸腔アプローチのいずれにも功罪が存在し,肺合併症を抑えつつ,良好な視野を得て下縦隔の郭清を過不足なく行うことがMALTAでは可能.特に本症例のように接合部上部に憩室があり,一方からの視野では不十分となりかねない症例に関してはより良い適応である.