DM患者に対する胃癌術後の再建法の検討
【論文】
2型糖尿病患者に対する胃癌幽門側胃切除時の至適再建方法の検討
伊藤ら, 日消外会誌 2021;54(4)
【要旨】
各々の再建方法の術前後のBMI/HbA1c/DM治療の変化について検討.
B-I 14例,B-Ⅱ 5例,R-Y法 13例で検討.
ΔBMIとΔHbA1cでは有意差なし.糖尿病治療薬の減少についてR-Y法で8例(62%)と有意差を認めた(P=0.022).
【考察】
・胃切除後はホルモン分泌の変化の影響による耐糖能改善が報告されている.
→グレリンやレプチン,インスリン分泌促進ホルモンのPYY/GIPの増加など.
・グレリン:胃体部の胃粘膜に主に局在.作用は食欲亢進,成長ホルモン分泌促進,インスリン分泌抑制.十二指腸にも存在するのでB-I以外の再建法ではグレリン細胞との食餌刺激が減る.
・GLP-1:回腸末端に存在.膵β細胞に作用し,インスリン分泌促進や満福中枢刺激.R-Yではより早く回腸末端に届くためこの効果が強く表れる.
・より長いY脚で耐糖能改善効果が高いとの報告もあり.
・S-1はβ細胞障害性の耐糖能異常をきたす.