知っておきたい解剖学的異常(胆嚢摘出術)
【肝門部胆管合流形式】
胆摘で問題となるものはCの後枝独立合流型.5%前後といわれる.
低位で後枝が分岐しているので,いい加減な剥離では胆のう管と誤認しかねない.
基本的に胆のう沿いに剥離していけば問題になることはないが、高度炎症症例等では問題となることがある.
【胆嚢動脈】
通常の右肝動脈から分岐し,Calot三角内で胆嚢動脈が走行するA型は7割程度.
Cでは最も注意を要する.胆嚢に近接して走行する右肝動脈を胆嚢動脈として誤認する場合がある.臨床的にしばしば遭遇するが,通常その太さで気づくことが多い.(Caterpiller hump right hepatic arteryと呼ぶ.)
また,Bのように早期に浅枝,深枝に分かれるパターン(20%程度)もあるので一本切離したから安心ということではない.
いずれもその起源を追う追うはないのでCalot三角内でしっかり勝負してCVSを意識すればよい.
【副肝管】
・臨床的には,区域以下の肝領域を支配する肝内胆管が肝外を走行し,総胆管,総肝管,胆囊や胆囊管に合流する解剖学的変異と認識されていることが多い.頻度は 0.8~31%とされる.
・Type1,5では副肝管と胆嚢管を誤認しやすい.術中胆道造影が望ましいか.
・当方もType1を2例経験したが,1つの症例では副肝管と右肝管、胆嚢間の関係が非常にわかりづらく6時間近くLap-Cを行ったことがある.
【参考】
肝門部胆管合流形式の検討,中村 弘樹 胆道(1994)
腹腔鏡下胆嚢摘出術における胆嚢動脈走行 高 山 智 〓 日外連会誌(1990)
副肝管を有する症例に対する胆囊摘出術の検討 矢部 沙織 日消外会誌(2020)