ADH1B/ALDH2遺伝子多型に基づく食道癌に対する内視鏡下切除後の異時性扁平上皮癌のリスク評価

【論文】

Risk assessment of metachronous squamous cell carcinoma after endoscopic resection for esophageal carcinoma based on the genetic polymorphisms of alcoholdehydrogense-1B aldehyde dehydrogenase-2: temperance reduces the risk

S.Abikoら，J Gast (2018)53

【要約】

Alcohol dehydrogenase-1B(ADH1B)およびaldehyde dehydrogenase-2(ALDH2)の遺伝子多型，および飲酒・喫煙習慣に基づき，食道扁平上皮癌(ESCC)に対する内視鏡的切除術(ER)後の異時性扁平上皮癌(SCC)発症に対するリスクを評価した．ESCCに対しERを受けた患者158名を対象とした．唾液標本によりADH1B/ALDH2の遺伝子型解析を行った．ER前後での患者の飲酒および喫煙歴を記録した．多変量解析により，不活性へテロ接合性ALDH2とER後の飲酒が二次SCC発症リスクと独立的な関連性を認めた．不活性へテロ接合性ALDH2とER後の飲酒が三次SCCリスクと独立的に関連していた．ER前における中等量～大量飲酒歴のある患者110名を解析した．節酒群(n=65)および非節酒群(n=45)における二次SCCの3年累積発生率は各々14.0，42.1%であった．節酒群および非節酒群における三次SCCの5年累積発生率は各々0，15.6%であった．節酒群および非節酒群における四次SCCの7年累積発生率は各々0，15.3%であった．

→ER後の節酒が異時性ESCCの予防として最も重要．ADH1B低活性型はHNSCCのリスクとなる．